- 屋根の塗装工事の足場代って結構高い…。足場なしってダメなの?
- 屋根足場の適切な費用ってどのくらい?
この記事ではそんな疑問にお答えします。
結論から言うと、屋根の塗装工事をする際は足場は必須であることがほとんどです!
法律で定められているのが大きな理由ですが、それ以外に家主側にもメリットがあります。
足場が必要な理由や費用相場について、難しい言葉は使わずにわかりやすく解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。
目次
屋根塗装で足場が必要な3つの理由
屋根塗装で足場が必要な理由は、以下の3つです。
- 法律で規定があるため
- 近隣への塗料の飛散を防ぐため
- 工事の品質を確保するため
1つずつ解説します。
法律で規定があるため
足場の設置基準に関しては、労働安全衛生法という法律で以下の通り定められています。
事業者は、高さ2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部を除く)で作業を行う場合において墜落により労働者に危険をおよぼすおそれのあるときは足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない
労働安全衛生規則第518条
一般的な住宅の2階の屋根の高さは6~7メートルになるため、屋根塗装の際は足場は必ず必要になります。
例外として、陸屋根など勾配がない平らな屋根の場合は、足場はなくても構いません。
また、2024年4月に法改正があり、より安全性が高い足場の使用が義務化されました。
足場には1本の支柱を軸に設置する「一側足場」と、2本の支柱を軸にする「本足場(二側足場)」があります。
法改正によって、幅1メートル以上の箇所に足場を設定する場合は、本足場の使用が義務となりました。
簡易的な足場では、法律違反になる可能性もありますので注意しましょう。
この法律をきちんと知っているかによっても、業者の安全性への意識が確認できます。
自分の家での工事中に事故を出さないためにも、法律を遵守する業者を選ぶようにしましょう。
法改正について詳しく知りたい方は、厚生労働省の資料をご確認ください。
近隣への塗料の飛散を防ぐため
足場なしで塗装工事を行うと、高圧洗浄の水や汚れ、塗料などが近隣のお家へ飛んでしまう可能性があります。
足場がかかっているお家の多くは、以下の写真のようなメッシュシートもかかっていますよね。
これは、周辺のお家を汚さないための予防策です。
もし足場をかけずに工事を行ったら、近隣のお家に水が飛んで家の周りに置いてあるものを濡らしてしまったり、もし窓が開いていたら部屋の中に水が入ってしまったりする可能性も考えられるでしょう。
塗料が隣の家の外壁に付いてしまったら、外観も損なわれますよね。
工事がきっかけでご近所とトラブルになったり、近所付き合いが悪くなるのは誰しもが避けたいことです。
余計な問題を引き起こさないよう、塗装工事の際の足場とメッシュシートの準備は必須といえます。
工事の品質を確保するため
工事の品質を確保するためにも、足場は必須になります。
例えば、足場なしで塗装することを考えてみてください。
もし、足場がなかったら落下の危険性がありますし、場所によっては足元が安定しません。
その結果、細かいところまで丁寧に下地処理したり、塗装したりすることが難しくなります。
丁寧な施工ができていない場合、耐久年数が短くなり、予定より早く再度塗装工事が必要になるケースもあります。
このように、足場なしで塗装すると、長い目で見た場合に塗装にかかる費用が高くなってしまいます。
安心して高品質の施工をしてもらえるよう、足場の設置が必須です。
屋根塗装の足場の種類
一口に足場と言っても、以下のように複数の種類があります。
- 単管(パイプ)足場
- ビケ(クサビ)足場
- 単管ブラケット足場
- 枠組み足場
それぞれの足場について、詳しく解説します。
単管(パイプ)足場
単管足場(たんかんあしば)とは、単管と呼ばれる鉄パイプを組み合わせて設置する足場のことです。
パイプ足場とも呼ばれます。
狭い場所でも設置できるというメリットがありますが、強度や安全性は他の足場より劣るため、低層での作業などに向いています。
ビケ(クサビ)足場
ビケ足場とは、くさび緊結式足場の商品名で、部材の接続部分にハンマーでクサビを打ち込んで設置する足場です。
クサビ足場と呼ばれることもあります。
組み立てや解体が簡単で、短時間でできるというメリットがあります。
コストパフォーマンスにも優れていますが、設置場所にスペースを要するので、近隣の建物との距離が狭い場合は使用できません。
一般住宅の工事の際に使われるほか、中層建築や一部の高層建築でも使われています。
単管ブラケット足場
単管ブラケット足場とは、単管足場にブラケットとアンチという部材を加えて、安定性を高めたものです。
ブラケットのボルトを締めながら組み立てていくので単管足場よりしっかり安全性が確保でき、狭い場所でも設置できるというメリットがあります。
1つずつブラケットを取り付けていく分、設置・解体には時間がかかるのがデメリットです。
枠組み足場
枠組み足場は、門型に溶接された建枠を中心として、ジョイント・ジャッキ型ベース金具・筋交い・鋼製布板などの部材を組み合わせて作られる足場です。
非常に強度が強く、高所での作業も安全に行えます。
ハンマーを使用しないので、設置時の騒音がそこまで大きくないこと、組み立てや解体が比較的簡単なのもメリットです。
現在、多くの現場で使われている一般的な足場になります。
屋根塗装をする際の足場の費用相場
屋根塗装の足場費用の相場は、1㎡あたり600~1,000円程度です。
一般的な30坪・2階建ての家だと約15~20万円くらいかかると想定しておけば良いでしょう。
足場費用は、以下の計算式で算出します。
(外壁の周囲の長さ+8メートル)× 建物の高さ × 1㎡あたりの単価
+8メートルというのは、外壁から少し離したところに足場を設置するため、周囲の長さが増える分です。
この足場費用には、足場の組み立て・解体・運搬・メッシュシート費用が含まれています。
以下の場合には、単価が上がったり追加費用がかかったりする可能性もあります。
- 屋根足場をかける場合
- 自宅の敷地内に足場を設置する十分なスペースがない場合
- 運搬車両が入れない、路地奥などに家がある場合
当てはまる可能性がある場合は、きちんと事前に現場調査をしてもらった上で見積もりを出してもらうことをおすすめします。
屋根塗装の足場代が無料になることはある?
塗装工事の際に、足場代無料をうたっている業者も時々います。
ですが、これまで見てきたように足場は必須のため、その分の原価はほぼ確実にかかっています。
「足場代無料」で目を引こうとしていますが、実際は足場代分の費用が塗装工事の料金に含まれていることが多いでしょう。
つまり、実質的には安くなっていないということです。
誠実な業者であればそのような見せ方はせず、なぜ足場が必要なのか、どこにどのくらいの費用がかかるのか、詳しく説明してくれるはずです。
目先のお得さだけに飛びつかず、塗装単価や工事全体の費用をしっかり見るようにしてください。
屋根塗装のDIYに足場は必要?
DIYで塗装工事を行う場合も、足場は使用するのが望ましいです。
自分で自宅の塗装工事を行う場合は、足場設置の法律は適用されません。
ですが、足場は落下防止など安全性を確保するために設置するものですので、DIYだからなくても良いということにはなりません。
はしごや脚立を利用して屋根には上がれても、作業中の足場は不安定です。
DIYで塗装をする場合の足場について、取れる方法は以下の2つが考えられます。
- 足場のみ業者に依頼する
- ホームセンターで部材を購入し、単管足場を組み立てる
おすすめは業者に依頼することです。
自分で組み立てると少しは費用が抑えられますが、時間がかかりますし、適切に組み立てていない場合、落下などの危険のリスクが高まります。
また、頻繁に使う訳ではない足場を工事が終わった後にどうするかという保管場所の問題もあります。
業者に頼めば足場の設置・解体は各1日で終わりますので、塗装以外の工程で大きく時間を取られる心配もありません。
足場を設置した際のよくあるトラブル
足場を設置する際のよくあるトラブルを紹介します。
事前の情報共有で防げるものもありますので、なるべくトラブルを避けるためにもぜひご一読ください。
足場で外壁やカーポートなどに傷がつく
足場の組み立て・解体の際に部材がぶつかってしまい、外壁やカーポート、駐車場に止まっている車や自転車などに傷がついてしまうことがあります。
動かせるものは場所を変えておくのが1番です。
傷ついた場合は施工業者の責任で修復してもらえるケースが多いですが、足場による傷なのか判断がつかない場合もあります。
心配が大きいようであれば、事前に家の周辺の写真を撮っておくと比較しやすいです。
足場で植栽が傷つく
足場を設置する場合、庭木にぶつかったり花壇内に足場を設置したりしたことで植栽が傷ついたというトラブルはよく聞きます。
自分の家だけでなく、隣の家の庭木でも起こり得ます。
施工時に気を付けてもらうしかないのですが、絶対に触れないようにしてほしい植物や一角があれば、工事が始まる前に必ず伝えておくようにしましょう。
足場で室内が暗くなる
足場にメッシュシートがかかっている場合は特に、光がさえぎられて室内が暗くなってしまうことがあります。
工事期間中は我慢するしかないのですが、南側の隣家に影響が出そうな場合はあらかじめ工事期間をお伝えして、ご挨拶しておくことをおすすめします。
隣家の敷地内に足場を立てた
隣家との距離が近く、自宅の敷地内に十分なスペースがない場合、足場の一部を隣家の敷地に立てさせてもらうことがあります。
事前に一言ご挨拶をしておくのが1番なのですが、中には施主も知らないうちに無断で隣家の敷地に設置していて、後から気付いてトラブルになる場合もあります。
自分の敷地内に足場が立てられるかどうかは、事前に業者に確認しておくと安心です。
足場の組み立て・解体時の騒音が気になる
足場の組み立て・解体時には、部材同士がぶつかったり、部材をハンマーで打ち込んだりするので大きな金属音が出ます。
半日~1日の作業になるので、事前に作業日を把握しておくことが大切です。
近所のお家にも音は届きますので、日付をお知らせしておくと余計なトラブルを避けられるでしょう。
トラックが路上駐車していて通れない
足場の組み立て・解体の日は運搬用のトラックが家の前にとまることになります。
道路が狭いと他の車が通りにくく、近隣から苦情が入る場合も。
路上駐車する場合は、工期がわかったら関係しそうな近所の家にはご挨拶をしておくと安心です。
近隣挨拶をしてくれる業者もいますので、同行してもらえるか聞いてみると良いでしょう。
強風で足場が倒壊した
台風などで強風が吹くと、足場が風にあおられて倒れてしまうこともあります。
特にメッシュシートが張りっぱなしになっていると倒壊の危険性は高まります。
ちゃんとした業者であれば天候を見てメッシュシートを一時外すなどの対処をしてくれるはずですが、不安があれば早めに相談をしましょう。
まとめ:屋根塗装に足場は必須。安全で高品質な工事にしよう
この記事では、屋根塗装工事に足場が必須な理由と費用相場についてご説明してきました。
足場が必要な理由は、以下の3つです。
- 法律で規定があるため
- 近隣への塗料の飛散を防ぐため
- 工事の品質を確保するため
2024年4月に法改正があり、より安全な足場の設置が義務付けられていることも、業者選びにあたってはぜひ覚えておいてください。
足場代は決して安くはありませんが、安全で高品質な工事を行うためには必須のものです。
また、塗装工事による近隣トラブルを避けるためにも足場はあった方が安心です。
きちんと説明をしてくれる信頼できる業者を選んで、納得のいく屋根塗装工事を行ってください。