屋根塗装が剥がれる原因は3つ!補修方法と費用相場も解説

自宅の屋根の塗装がパリパリ剥がれているのを見つけたけど、このまま放置したらまずい?
直すなら、どんな工事をしてお金はどのくらいかかるのだろう?

この記事ではそんなお悩みに答えます。

普段はあまり気にしない場所なので、対処法もよくわからないですよね。

結論を言うと、屋根の塗装の剥がれは、放っておくと家の木部の痛みや雨漏りの原因にもなる可能性があり、早めに対処した方が良いです。

そのため本記事では下記について解説したいと思います。

  • 屋根塗装が剥がれる3つの原因
  • 屋根塗装が剝がれたときの修理方法と金額の相場

5分ほどで読み終わりますのでじっくりと読み進めて頂けますと幸いです。

屋根塗装がパリパリ剥がれる原因3つ

屋根塗装がパリパリ剥がれてしまうのには、大きく分けて以下の3つの原因があります。

  • 経年劣化
  • 施工不良
  • 塗装できない素材への塗装

1つずつ解説していきます。

経年劣化

塗装の寿命は塗料や環境によっても変わりますが、一般的には10~15年ほどと言われています。

主な塗料の種類別の耐久年数の目安は以下の通りです。

塗料種類耐久年数
ウレタン塗料6~8年
シリコン塗料8~10年
フッ素塗料15年~20年
無機塗料16年~20年

前回の塗装から上記の期間を超えている場合は、剥がれは経年劣化が原因とみて良いでしょう。

屋根塗装が経年劣化する原因は、紫外線・熱・水です。

劣化にも段階があって、いきなり塗装が剥がれるわけではありません。

最初は色あせから始まり、触ると手が白くなるチョーキングが起こるようになり、ひび割れし始めて、最後に剥がれが起きます。

剥がれが起きている=劣化がかなり進んでいることになるので早めに対処することをおすすめします。

施工不良

施工不良も屋根塗装の剥がれの原因の1つです。

塗装をしてから数年で剥がれが起こる場合は、施工不良が考えられます

剥がれに繋がる可能性のある工程は複数あるので、1つずつ紹介します。

下地の強度不足

屋根材自体が劣化してしまっていると塗装をしても塗料がきちんとくっつかず、剥がれが起きる可能性があります。

洗浄不足

塗装をする際は1番最初に高圧洗浄で屋根全体をきれいに洗います。

洗浄不足で汚れが残っている上に塗装をすると、塗料の密着性が悪く、剝がれやすくなってしまいます。

ケレン処理不足

ケレン処理とは、錆を落としたり、以前塗装した際の塗膜を剥がす作業です。

また、下地に傷をつけることで塗料がしっかり付着するという効果も。

この処理が甘いと、塗料の密着性が悪くなり、塗装の耐久性にも影響が出ます。

また、ひび割れ部分にシーリング材を充填する作業も下地処理として行われますが、ここの施工不良も剥がれやすさに繋がります。

塗装時の乾燥不足

屋根の塗装は通常、下塗り1回、上塗り2回の計3回塗ることが多いです。

1回塗ったらよく乾燥させてから次の塗りを始める必要があります。

乾燥不足の状態で塗料を塗り始めると、剥がれが起きやすくなります。

塗料の扱いミス

下塗りと上塗りは違う塗料を使います。

この2つの塗料の相性が悪かったり、塗る順番を間違えてしまったりすると剥がれに繋がってしまいます。

また、塗料を薄め過ぎた、既定の量を塗っていなかった等のミスの可能性も有りです。

施工日の天候

暑すぎたり寒すぎたり、雨が降っている中での施工はあまり良くありません。

塗料メーカーのサイトにも以下の記載があります。

気温5℃以上、湿度85%未満の気象条件の下で塗装可能です。

冬場の朝方は気温が5度以上になっても被塗装面が冷え切っているため、早朝は塗装に適しません。また夕方は結露が生じやすいため早めに塗装を終了させます。

夏場の屋根塗装は、素地の温度が高いと塗料が速く乾燥して作業性や仕上りに影響するため塗装を避けるか、やむを得ない場合には希釈率を調整しながら行う必要があります。

冬場、夏場は制約が多いため、春と秋が塗装に向いた季節といえます。

日本ペイント

塗装を行う際は、適切な天候を選ぶことが大切です。

どの過程で施工不良があったかは判断が難しいので、塗装業者に見てもらった際に確認をして、きちんと説明をしてもらうことをおすすめします。

塗装できない素材への塗装

そもそも最初から、塗装自体ができない屋根材が使われている可能性もあります。

一例として、ニチハ株式会社のパミールが挙げられます。

ちゃんとした塗装業者であれば塗装できない屋根材は把握しているはずですが、確認が甘く塗装をしてしまった結果剥がれに繋がったのかもしれません。

屋根塗装が剥がれたら、補修は必要?

屋根塗装が剥がれているのを見つけたら、補修は絶対に必要です!

なるべく早く対処しましょう。

そのまま塗装の剥がれを放置しておくと、すきまから水が入って雨漏りしたり、屋根材が痛んでしまったりするおそれも有ります。

塗装工事だけで済まなくなり、屋根葺き替えなど大規模な工事が必要になると、費用も膨らんでしまいます。

塗装と比べると金額は数倍かかるので、様子を見るメリットはありません

もし施工不良が疑われるなら、まずは施工業者へ連絡しましょう。

施工不良が原因だと判断されれば、無償で施工し直ししてもらえる場合も多いです。

保証期間が設定されていれば、期間内なら施工不良の判断ができなくても無償対応してもらえる場合も。

時間が経ってしまうと経年劣化か施工不良か判断がつかなくなってしまうので、気付いたら早めに連絡することをおすすめします。

屋根塗装が剥がれたときの修理方法とかかる費用

塗装の剥がれを修理する際は、施工範囲や屋根の状態によって費用が変わります。

修理方法は以下の3つ。

  • 一部分のみの塗装
  • 屋根全体の塗装
  • 屋根葺き替え・カバー工法

それぞれ修理方法と費用の相場を解説します。

一部分のみの塗装

塗装の剥がれが起きている範囲が一部分の場合は、そこだけを塗り直します。

塗り直した箇所と塗らない場所とで、見た目に若干差が出る可能性があることは注意です。

費用は、足場の有無によって大きく変わりますが、5~20万円程度でしょう。

塗り直したい範囲がある程度広い場合、現在剥がれていない部分も耐久年数から考えて数年以内に塗装が必要な場合は、屋根全体の塗装をした方が長い目で見ると安く済むこともあります。

施工範囲は塗装業者と相談をして、しっかり決めましょう。

工期は天候にも左右されますが、数日程度です。

屋根全体の塗装

剥がれが出ているのは一部分だとしても、他の場所に色あせやチョーキング(触ると手が白くなる)など劣化の症状が出ている場合は屋根全体の塗装がおすすめです。

屋根全体を塗装する場合は、足場費用込みで40~80万円くらいが相場です。

費用は、足場代+屋根の面積と選ぶ塗料によって変わります。

工期は1週間前後と考えておけば良いでしょう。

屋根葺き替え・カバー工法

屋根材自体が劣化している・塗装ができない屋根材が使われている・過去3回塗装している等の場合は、屋根の葺き替えもしくはカバー工法での工事になります。

葺き替えとカバー工法の違いは以下の通りです。

葺き替えカバー工法
工事内容今の屋根材をすべて撤去して、新しい屋根材を設置今ある屋根材の上から新しい屋根材を被せる。「重ね葺き」とも言う
メリット・下地の補修、防水シートの交換などしっかりメンテナンスができる
・次のメンテナンス時期まで期間が長くなる
・費用が安い
・工期が短い
・断熱性・防音性が上がる
デメリット・撤去・処分費が入るため、カバー工法より費用は高くなる
・カバー工法より工期は長くなる
・工事中、埃が出る
・屋根が重くなる(耐震性に影響がある可能性)
・瓦屋根には施工できない
・選べる屋根材が限定される(金属屋根が多い)

どちらもメリットデメリットがありますが、下地からしっかり直して安心したいのであれば葺き替え、なるべく費用を抑えて工期も短くしたいのであればカバー工法がおすすめです。

ただし、カバー工法は今の屋根の種類・劣化の状態などによってできない場合もあります。

そもそも施工できるのかは、塗装業者に確認しましょう。

費用は屋根の面積によって変わりますが、相場としてはカバー工法が80~150万円、葺き替えが120~250万円くらいです。

工期は、カバー工法は10日前後、葺き替えは14日前後になります。

信頼できる業者選びのコツ

塗装業者は地元密着型の会社から大手まで様々いますが、信頼できる業者を選ぶことがメンテナンスの面からも大事です。

単に金額の安さだけで判断してしまうと、その後の保証が不十分で満足のいく対応をしてもらえない可能性も。

塗装して終わりではないのです。

そこで、業者を選ぶ時のポイントをいくつかお伝えします。

業者を選ぶ時のポイント

まずは複数社から相見積もりを取って比較することをおすすめします。

比較するときは、以下のようなポイントを確認しましょう。

  • 見積の内訳は明確か(「一式いくら」ばかりあったら、内訳を聞く)
  • 足場の設置費用は含まれているか
  • 使用する塗料や工事の手順に関する説明はあったか
  • 保証期間は何年か
  • 見積を提出するまでの連絡のやり取りはスムーズだったか
  • 近隣への事前挨拶など、近所への配慮はありそうか

足場は費用が高いので、足場なしで作業できる分安いですという会社もあるでしょう。

ただ、2m以上の高所で作業する場合は足場の設置が法律で定められています。(安全衛生規則 第五百十九条

万が一、事故などがあった場合に後々大きなトラブルに発展する可能性もあります。

「うちは技術があるので足場がなくても作業できます」などという言葉は鵜呑みにしないでください。

また、近隣への配慮も大事なポイントです。

足場を立てて工事する場合、組立てと解体をする日は大きな音が出ますし、高圧洗浄をする日は隣家に水が飛ぶ可能性もあります。

庭に植えてある植物を傷つけてしまった、足場を設置する際に隣家の敷地に勝手に入って作業したなど、配慮に欠けた行動のせいでトラブルに発生する話は珍しくありません。

このような配慮をしっかりしてくれる業者は、施工が丁寧で品質も高い場合が多いです。

普段のやり取りからも対応の丁寧さは感じられるはずですので、意識して見てみてください。

突然訪問されて「塗装が剥がれている」と言われたら?

悪質な業者の中には、飛び込みで訪問して「塗装が剥がれている」「今日契約すれば安くできる」などと言って契約を迫る事例もあります。

このような場合はその場で判断せず、断りましょう。

あとから追加契約の話が出てきて金額が大きくなり、断れないなどのトラブルも発生しています。

見積だけならと思って家に上げたり、屋根を見せたりするのもやめた方が良いです。

嘘でも良いので「いつもお願いしている業者がいるから」などと言って、話を続けない方が賢明です。

屋根は定期的に塗装して劣化を防ごう

屋根は、塗装の剥がれが起きる前に定期的に塗装するのが理想です。

耐久年数が近くなるか、触ってみて手が白くなったら塗り替えを検討してみてください。

ただし、屋根への塗装は多くても3回までが限度です。

それを超えると塗装してもあまり長持ちしなくなります。

3回目の塗装をして一定の年数が過ぎたら、次回は屋根の葺き替え工事が必要になると考えておいた方が良いです。

お家を長持ちさせるためにも、屋根のメンテナンスは定期的に行いましょう。

記事の監修者

長江勝彦

長江 勝彦

1966年創業、外壁番長の代表取締役。地元、富山県を中心に住宅のリフォーム・塗装業務を行っており、これまで500件以上の施工実績を持つ。

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