コロニアル屋根とはどんなもの?種類や耐久性・メンテナンス方法を紹介

「コロニアルってどんな屋根材?」
「良い屋根材なのかどうか知りたい!」

そんな方のために、この記事ではコロニアル屋根に関する以下のような基本情報をわかりやすくまとめました。

  • コロニアルとはどんな屋根材か
  • コロニアル屋根のメリット・デメリット
  • コロニアル屋根の耐用年数とメンテナンス方法・費用

最後まで読んでいただければ、コロニアル屋根の特徴や、これから新築や屋根リフォームをする際にコロニアルを選んで良いのかが理解できます。

ぜひ屋根材選びの参考にしてください。

コロニアル屋根とは?

コロニアル屋根とは、スレート屋根の一種で商品名になります。

スレート屋根はセメントから作られた薄い板のような屋根材で、ケイミュー株式会社が販売しているスレート屋根の商品がコロニアルという名前です。

スレート屋根は軽くて耐震性に優れていることと価格が安価なことがメリットで、日本の住宅では長らく人気の屋根材でした。

現在は屋根材のシェア1位の座を金属屋根に奪われてしまいましたが、今でも多くの住宅の屋根材として使われています。

コロニアルとスレートの違いは?

先述したようにコロニアルはスレート屋根の商品名になり、指しているのは同じものになります。

厳密にいえばスレート屋根が正しいのですが、コロニアルという呼び方もスレート屋根全般を表す名称として定着しているのが現状です。

スレート屋根はコロニアル以外に、「化粧スレート」「カラーベスト」とも呼ばれることがあります。

化粧スレートは、粘板岩という本物の石を使った「天然スレート」と対比させた名称、カラーベストはケイミュー株式会社が取り扱うスレート屋根のブランド名です。

どの呼び方であってもスレート屋根のことであることは伝わりますので、呼び方の違いはあまり気にしなくて良いでしょう。

コロニアルにアスベストは含まれている?

コロニアル屋根を検索するとアスベストというワードも出てきて、心配になる方もいると思います。

結論から言うと、2006年以降に製造されたコロニアルであればアスベストは含まれていません

以前は耐久性を高めるためにアスベストが含まれたスレート屋根が製造・販売されていたのですが、健康被害が取り上げられるようになった2004年以降から順次使用が禁止されています。

築20年を超えるお家の場合は、アスベストが含まれているスレート屋根材を使っているも0ではありません。

気になる場合は、石綿含有建材データベースでアスベストが含まれているかどうか調べられますので参考にしてください。

使っている屋根材の商品名は、お家の図面に記載されているはずです。

アスベストが含まれている場合、屋根材の撤去を行う際に事前調査や処分費用などが必要になり、アスベストが含まれていない屋根材の2倍前後の費用がかかります。

今から新たにスレート屋根(コロニアル)の工事をするのであればアスベストの心配は不要ですので、安心してください。

コロニアル屋根の種類

コロニアル屋根の種類について、スレートの種類という観点から解説します。

「コロニアルとスレートの違いは?」でも書いたように、スレートは天然の石を使った「天然スレート」とセメントから作った「化粧スレート」にわかれます。

化粧スレートはさらに、形状によって「平板スレート」「厚型スレート」「波型スレート」の3つに分類されます。

一般的な住宅に使われるのは平板スレートです。

厚型スレートはセメント瓦とも呼ばれ、瓦のように厚みがあるけど瓦ほど高くないというメリットで一時期人気がありましたが、今は生産されていません。

波型スレートはその名の通り表面が波状のスレートで、工場の屋根などに使われています。

スレートの分類をまとめると以下のようになります。

  • 天然スレート
  • 化粧スレート
    • 平板スレート
    • 厚型スレート
    • 波型スレート

コロニアル屋根のメリットとデメリット

コロニアル屋根のメリットとデメリットをそれぞれ紹介していきます。

コロニアル屋根のメリット

コロニアル屋根のメリットは4つあります。

  • 価格が安い
  • 耐震性に優れている
  • カラーバリエーションが豊富
  • 施工できる業者が多い

価格が安い

コロニアル屋根は、他の屋根材と比べて価格が安いのが大きな魅力です。

金属屋根や瓦屋根と比較すると半額~8割程度安いため、初期費用が抑えられます。

耐震性に優れている

コロニアル自体とても軽く、1枚当たりの重さは3キロ程度です。これは瓦の半分程度の重量になります。

軽い分お家全体にかかる重量も減り、耐震性に優れている屋根材の一つです。

カラーバリエーションが豊富

色の選択肢が豊富なことも、コロニアル屋根のメリットです。

例えばケイミュー株式会社の「コロニアルグラッサ」という商品の場合、全16色から選べます。

黒・グレー・緑・赤・オレンジなど様々な雰囲気の色があるので、自分のイメージに合う色を見つけやすいでしょう。

施工できる業者が多い

広く使われている屋根材である分、施工できる業者が多いことも安心材料になります。

珍しい屋根材を使用すると、何かあった場合の補修やメンテナンス工事の際に施工業者が見つからず、遠方の業者に依頼することになって費用が高くなってしまったり、そもそもの施工費が高かったりします。

なるべく施工費を抑えたいのであれば、コロニアル屋根や金属屋根など、普及率の高い屋根材を選んでおくのがおすすめです。

コロニアル屋根のデメリット

一方、コロニアル屋根のデメリットは3つです。

  • ひび割れしやすい
  • 汚れやすい
  • 定期的なメンテナンスが必要

ひび割れしやすい

コロニアルは5㎜前後の薄い屋根材であるため、ひび割れがしやすいのがデメリットです。

強風で飛来物がぶつかったり、点検や修繕で人が屋根に上がった際に割れてしまったりする可能性があります。

狭い範囲であれば補修も可能ですが、範囲が広がると屋根の重ね葺きや葺き替えなどの工事が必要になります。

汚れやすい

コロニアルの表面はざらざらしているため、隙間に汚れがたまりやすくなります。

また、塗装が劣化してくるとカビや苔が生えることもあります。

汚れが増えてくると外観が損なわれるのはもちろん、機能的にも劣化が疑われますので塗装によるメンテナンスを検討してみても良いでしょう。

定期的なメンテナンスが必要

コロニアル屋根は、10~15年に1回塗装が必要になります。

塗装をしないと塗膜の破れた隙間から水分が入り込み、そのまま放置していると雨漏れに繋がってしまいます。

屋根の下地が傷むと直すときにかなり大掛かりな工事になって費用もかさみますので、定期的なメンテナンスは忘れないようにしましょう。

コロニアル屋根のメンテナンスについては、「【戸建】屋根のメンテナンスは何年ごと?時期と費用相場を解説!」の記事も参考にしてください。

コロニアル屋根の耐久性(寿命)とメンテナンス費用

スレート屋根は屋根材が作られた時期によって耐用年数が変わりますが、耐用年数15~30年程度とされています。

ただし、定期的なメンテンナンスをすることが前提の数字になり、メンテンナンス0だと寿命はもっと短くなる可能性が高くなります。

10~15年に一度は塗装をするのが望ましいのですが、定期的な塗装をしていても、耐用年数自体が大きく延びる訳ではありません。

塗装自体2~3回を超えると塗膜が厚くなって剥がれやすくなること、コロニアルの下に敷いている防水のためのルーフィングというシートが劣化してしまうことを考えると、15~30年程度が寿命となるのです。

メンテナンス費用は、お家の大きさや工事の種類によって変わりますが、一般的な費用を以下にまとめますので目安にしてください。

工事種類費用
塗装工事100万円前後
部分補修数万~数十万円
カバー工法(重ね葺き)80~150万円
葺き替え工事120~250万円

代表的な他の屋根材との耐用年数・メンテナンス方法の違いも見てみましょう。

屋根材の種類耐用年数メンテナンス
化粧スレート(コロニアル)30年前後10年に一度塗装が必要
ガルバリウム鋼板(金属屋根)25~35年10~15年に一度塗装が必要
粘土瓦50年基本的に不要

瓦の耐用年数の長さやメンテナンス不要というのは魅力的なのですが、そもそもの施工費が高いことや、重量があるため耐震性に劣るというデメリットもあります。

屋根材自体や施工費が安いですが、塗装など定期的なメンテナンスが必要なのはコロニアル・金属屋根共通です。

違いとしては、金属屋根はコロニアルと比べてやや価格が高くなる分、耐久性も上がる傾向にあります。

コロニアル屋根の施工方法

コロニアル屋根を施工する際の手順は以下の通りになります。

  1. 足場の設置
  2. 既存屋根の撤去(葺き替えの場合)
  3. 下地処理
  4. 防水シートの施工
  5. 屋根材(コロニアル)の取り付け
  6. 雨仕舞処理

1つずつ詳しく解説します。

足場の設置

始めに足場を設置します。

屋根工事は高所作業になりますので、足場の設置は必須です。

安全に工事を進めるために必要な工程になります。

既存屋根の撤去(葺き替えの場合)

まずは古い屋根材をすべて撤去します。

カバー工法(重ね葺き)の場合は、この作業は行いません。

下地処理

屋根材の下には野地板という合板が貼られています。

傷んでいる箇所があれば貼り替え・補修を行い、たわみやゆがみがないよう調整をします。

下地がしっかりしていないと屋根材の施工にも悪影響があるため、きちんと処理することが大事です。

ルーフィングシート(防水シート)の施工

続いて防水のためルーフィングシートを施工します。

ルーフィングシートは、雨水が家の内部に入ることを防ぐための非常に重要な工程になります。

ルーフィングシートを正しく施工できていれば、仮に屋根材のすきまから雨水が入ってしまったとしても、それ以上家の内部に入らないよう防いでくれるのです。

防水機能を高めるため、ルーフィングシートの端は10㎝以上重ねて施工します。

屋根材(コロニアル)の取り付け

防水シートの上からコロニアルを施工します。

すぐ外れてしまわないよう、釘やねじでしっかり止める必要があります。

施工したばかりのコロニアルを踏んで割ってしまわないように、注意が必要です。

雨仕舞処理

最後に、軒先や屋根の頂点部分である棟から水が入らないよう板金で覆ったり、シーリングをしたりします。

雨仕舞処理が適当だと、雨漏りのリスクが高まってしまいます。

屋根全体の防水機能を高めるために、防水シートの施工と合わせて非常に重要な工程です。

工期は葺き替えであれば1~2週間程度、カバー工法(重ね葺き)であれば7~10日程度となります。

まとめ:コロニアルはコスパの良い屋根材

コロニアル屋根の種類や特徴、メンテナンスについてまとめてきました。

コロニアルのメリットとデメリットを再度おさらいします。

コロニアルのメリットコロニアルのデメリット
・価格が安い
・耐震性に優れている
・カラーバリエーションが豊富
・施工できる業者が多い
・ひび割れしやすい
・汚れやすい
・定期的なメンテナンスが必要

新築では金属屋根の方が人気が高まっていますが、それでもコロニアルは総合的に見るとコスパの良い屋根材であると言えます。

他の屋根材とも比較してみたい方は、「【徹底比較】屋根材の種類と特徴まとめ!価格や耐用年数から選ぶポイントまで解説」の記事も参考にしてください。

屋根工事は頻繁に行うものではありませんので、ぜひしっかり吟味して納得のいく屋根材を選んでください。

記事の監修者

長江勝彦

長江 勝彦

1966年創業、外壁番長の代表取締役。地元、富山県を中心に住宅のリフォーム・塗装業務を行っており、これまで500件以上の施工実績を持つ。

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