トタン屋根とは?種類やガルバリウムとの違い、メンテナンスなど基礎知識を詳しく解説

  • トタン屋根ってどんな種類がある?
  • トタン屋根とガルバリウムって何が違うの?
  • トタン屋根の寿命はどのくらい?

この記事ではそんな疑問をお持ちの方に、トタン屋根の基礎知識をわかりやすく詳しく解説します。

新築の住宅ではあまり施工されなくなったトタン屋根ですが、今でもある程度の築年数のお家や物置の屋根としてよく見かけますよね。

トタン屋根の基本的な疑問が解決できるよう書いていきますので、トタン屋根の施工やメンテナンスにお悩み中の方はぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。

トタン屋根とは?

トタン屋根とは、薄い鉄板の表面に亜鉛メッキを施した金属屋根材のことを言います。

住宅の屋根といえば瓦屋根が一般的でしたが、瓦より安価で施工期間も短いことから高度経済成長期頃から人気の屋根材になりました。

近年では同じ金属屋根で、より耐久性の高いガルバリウム鋼板が主流になっていることもあり、新築の住宅ではほぼ使用されません。

それでも築年数の古い住宅や物置の屋根などではいまだに使われており、よく見かける屋根材の一種となっています。

トタン屋根の素材は?プラスチック製もある?

トタン屋根の素材は、先述の通り金属です。

「トタン屋根 プラスチック」で検索すると出てくるものは、正しくは「ポリカーボネート」という素材でできた波板です。

ポリカーボネートもトタン屋根同様、物置やカーポートの屋根で使われる素材のため、勘違いして覚えてしまっているケースが多いと思われます。

トタン屋根は金属のみで、プラスチック製はありませんので覚えておいてください。

トタン屋根とガルバリウム鋼板の違い

トタン屋根とガルバリウム鋼板の違いは、表面のメッキ層にあります。

トタンは鋼板に亜鉛のメッキを施したもの、一方ガルバリウム鋼板はメッキに亜鉛とアルミとケイ素が使われています。

鋼板に違いがあるわけではないのです。

トタンとガルバリウム鋼板は見た目には違いが少なく、見分けるのは難しいかもしれません。

ガルバリウムはサビにくいため、サビの状況で判断するか、設置時期で判断するのが比較的わかりやすいですが、正確には施工業者の判断を仰ぐことをおすすめします。

トタン屋根の種類

トタン屋根の種類には、以下の3つがあります。

  • 瓦棒葺きトタン屋根
  • 波板トタン屋根
  • 折板トタン屋根

1つずつ特徴を説明していきます。

瓦棒葺きトタン屋根

屋根の頂上から軒先に向かって、等間隔に縦線が入っているように見えるのが瓦棒葺きトタン屋根です。

縦線の中には心木と呼ばれる棒状の木材が配置され、その間に折り曲げたトタン屋根を嵌め込み、釘で固定しています。

雨水が流れやすく、勾配(角度)が緩い屋根に使えるのが特徴です。

波板トタン屋根

波板トタン屋根はその名の通り、形が波のようになっているトタン屋根を指します。

平らな鉄板を波型に加工することで薄い鉄板の強度を補っており、特に倉庫や納屋でよく見られます。

勾配のない屋根にも使用することができるトタン屋根です。

折板トタン屋根

波板トタン屋根よりも鉄板を大きく台形に折り曲げたのが折板トタン屋根です。

雨水が溜まりにくく水はけに優れる形状のため、瓦棒葺きトタン屋根よりもさらに勾配のない屋根に使うことができます。

工場や倉庫、自転車置き場や体育館など、施工面積が広い大規模な施設で使われる傾向にあります。

トタン屋根のメリット・デメリット

続いて、トタン屋根のメリットとデメリットをご紹介していきます。

トタン屋根のメリット

トタン屋根のメリットは3つあります。

安価に施工できる

トタン屋根は、材料費・施工費ともに安価であるのが大きなメリットです。

一般的な施工価格でいうと、トタン屋根は5~6,000円/㎡ですが、ガルバリウム鋼板は9,000~10,000円/㎡と約2倍も違うのです。

トタン屋根は施工が簡単なため、工事自体も比較的短時間で終わらせることができます。

軽量で耐震性に優れる

トタン屋根は大変軽量なため家自体にかかる負担も小さく、結果として耐震性に優れているといえます。

瓦屋根が1㎡あたり50~60kgあるのに対して、トタン屋根は約5kg。

なんと10分の1の重さです。

雨漏りしにくい

トタン屋根は繋ぎ目が少ないため、雨漏りがしにくい屋根材になります。

もう少し具体的に言うと、屋根の頂上から屋根の先(軒先)までは基本1枚の縦長の板を使用します。

そのため、傾斜が少ない屋根であっても雨漏れのおそれが大幅に抑えられるのです。

雨だけでなく、降雪量が多い地域でも雨漏りのしにくさは大きなメリットとなります。

トタン屋根のデメリット

一方、トタン屋根のデメリットも3つあります。

サビやすい

1番のデメリットはサビやすいことです。

表面のメッキが剥がれやすく、そこに雨水などが触れることでサビが発生し、長期間放置していると穴が開いたり、雨漏りが起きたりしてしまいます。

サビを防ぐには、定期的に塗装を行い、表面のメッキが剥がれないようにすることが必要です。

遮音性・遮熱性が低い

トタン屋根は薄い鉄板でできているため、熱や音を通しやすくなります。

そのため、屋根が受ける熱を室内に通しやすく、夏場に室温が上がりやすかったり、雨の時に音がうるさかったりする恐れがあります。

断熱材や吸音材の施工で多少はマシになりますが、冷暖房効率や外の音が気になる場合はトタン屋根以外の屋根材を検討した方が良いかもしれません。

メンテナンス周期が短い

トタン屋根は耐久性が低いため、他の屋根材より短い周期でメンテナンスが必要になります。

塗装工事は10年に1回が目安ですが、トタン自体の耐久性は10~20年のため、塗装をしていても早めに屋根材自体の葺き替え工事が必要になる可能性が高いです。

ガルバリウム鋼板も15年に1回程度の塗装が必要ですが、きちんとメンテナンスをすれば一般的には25~35年もつと言われています。

他の屋根材の耐久性については、「【徹底比較】屋根材の種類と特徴まとめ!価格や耐用年数から選ぶポイントまで解説」の記事内で解説しています。

トタン屋根の寿命と劣化症状

トタン屋根の劣化症状や寿命をどのように見分ければ良いかを解説します。

まずトタン屋根の寿命(耐久年数)は、一般的には10~20年と言われています。

劣化が進むと以下のような症状が出てきます。

  • 色あせ
  • 塗膜の剥がれ
  • サビ
  • 穴あき

最初に起こるのが色あせです。

屋根の色が白っぽくなってきたり、触って白い粉が手についたりしてきたら、塗装の劣化のサインと言えます。(触って白い粉がつくことを「チョーキング」と言います)

劣化が進むと、塗膜にひびが入ったり、剥がれたりしてきます。

この状態になったら、早めに塗装工事などのメンテナンスを行うことをおすすめします。

放置していると剥がれたところから水分が入ってサビができ、さらに悪化すると穴が開いてしまうのです。

穴が開いてしまうと工事の規模も費用も大きく膨らんでしまいます。

トタン屋根がなるべく長くもつように、日頃から上記のような劣化症状がないか観察するようにしましょう。

トタン屋根のメンテナンス方法と施工費用の目安

トタン屋根に劣化症状が見られたとき、どんなメンテナンス方法があるのかを解説します。

メンテナンス工事の種類は以下の4つです。

  • 部分補修
  • 塗装
  • カバー工法(重ね葺き)
  • 葺き替え

部分補修

部分補修はあくまで応急処置になります。

たとえば強風でトタン屋根が剥がれた場合にブルーシートを敷く、小さい穴をコーキングで塞ぐなどです。

根本的な原因を解消できるわけではないため、正式にメンテナンス工事を行うまでの繋ぎだと思っておいた方が良いでしょう。

今以上に状況が悪化する前になるべく早く施工業者に見積もりを取り、工事を進めるようにしてください。

費用としては数万円前後が一般的です。

塗装

トタン屋根のサビが軽度なら、塗装工事で対応が可能です。

穴が開いている場合は塗装工事では直しきれません。

塗装工事は、以下の手順で行います。

  1. 汚れやサビを取り除く
  2. 高圧洗浄機で洗い流す
  3. サビ止めを塗る
  4. 上塗りを塗る

塗装をする前に今ある汚れやサビを取り除くこと、適切な方法でサビ止めを塗ることが非常に大事になります。

塗装前の作業が適当だと、せっかく塗装をしてもまたすぐにサビが発生してしまう可能性があります。

塗装工事の費用は塗装面積と塗料の種類によって変わりますが、一般的な30坪のお家の屋根外壁を塗装した場合、費用相場は100万円前後です。

足場代も高額なため、屋根と同時に外壁も塗装する場合が多くなります。

カバー工法(重ね葺き)

塗装をすでに過去2回行っている場合、屋根材自体がもう寿命の場合はカバー工法か、屋根の葺き替え工事が必要になります。

カバー工法とは、今ある屋根材の上から新しい屋根材を被せること。

トタン屋根の上にガルバリウム鋼板の屋根材を被せるということも可能です。

今の屋根材の上に防水シートを貼り、新しい屋根材を施工するので機能性が改善され、見た目も新しくなります。

古い屋根材はそのままなので、処分費が発生しない・工期が短くて済むというメリットも。

一方デメリットは、屋根の重量が増すことです。

雨漏れ等で屋根の下地が痛んでいる場合は施工できないこともあります。

カバー工法の費用相場は施工面積によって変わりますが、80~150万円くらいです。

葺き替え

葺き替えは、今ある屋根材をすべて撤去して、新しい屋根材を設置する施工方法です。

屋根を一旦木材の骨組みの状態にまで戻すため、下地の補修や防水シートの交換など外からは見えない箇所もしっかりメンテナンスできます。

その分、カバー工法と比べると費用は高く、工期は長くはなります。

費用相場は屋根の面積次第ですが、120~250万円が目安になります。

特にカバー工法や葺き替え工事は費用が高額ですので、信頼できる業者に依頼をすることが工事成功のカギを握ります。

業者の選び方のコツを「後悔しない屋根修理業者の選び方と探し方を徹底解説」の記事で解説していますので、こちらも参考にしてください。

トタン屋根はDIYできる?

物置や自転車置き場のトタン屋根くらいであれば、DIYしたいと考える方もいらっしゃると思います。

塗装であればDIYのハードルは低めでしょう。

また、トタン屋根はホームセンターでも入手でき、施工方法のYouTubeなどもあるため、自分でもある程度は施工できるかもしれません。

ただし住宅の屋根の場合はDIYはおすすめしません

高所での作業は非常に危険なこと、プロの施工に比べて耐久性が落ちる可能性が高いこと(工事の品質が落ちる)が大きな理由です。

お家の安全・安心を保つための工事ですので、プロに依頼をした方が長い目で見ると絶対にお得になります。

DIYは脚立に乗って手が届く範囲の内容に留めておきましょう。

その場合でも安全性には十分に気を付けるようにしてください。

まとめ:トタン屋根の特徴をよく理解して選ぼう

この記事では、トタン屋根のメリット・デメリットやメンテナンス方法について解説をしてきました。

トタン屋根は非常に安価で使いやすい屋根材ですが、耐久年数の短さが懸念されるため、使用する場所はよく考える必要があります。

トタン屋根の特徴をよく理解し、後悔のない選択ができるよう願っています。

記事の監修者

長江勝彦

長江 勝彦

1966年創業、外壁番長の代表取締役。地元、富山県を中心に住宅のリフォーム・塗装業務を行っており、これまで500件以上の施工実績を持つ。

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