【戸建】屋根のメンテナンスは何年ごと?時期と費用相場を解説!

「屋根はどのくらいの頻度でメンテナンスが必要?」
「メンテナンスの費用相場はどのくらい?」

この記事では、上記のような屋根のメンテナンスに関する疑問について丁寧に解説します。

一口に屋根と言っても、瓦屋根・スレート屋根・金属屋根など種類が複数あり、使われている屋根材によってメンテナンス方法や時期も変わってきます。

自宅の屋根は何の種類で、今どんな状態だかわかりますか?

屋根材別のメンテナンス方法と、メンテナンスを検討した方が良いサインも紹介しますので、この記事を参考に自宅の屋根を見てみてください。

今の自宅に安心して長く住めるよう、メンテナンスのための基礎知識を学んでいきましょう。

【屋根材別】メンテナンス時期と耐用年数

まずは屋根材の種類ごとに、メンテナンスが必要な時期と耐用年数について説明します。

代表的な以下3つの屋根材について取り上げます。

  • 瓦屋根
  • スレート屋根
  • 金属屋根

ちなみに、2017年度に住宅支援機構が実施した「フラット35住宅仕様実態調査報告」によると、日本の住宅の屋根の仕様は、金属屋根が42%、スレート屋根が32%、瓦屋根が18%という割合になっています。

瓦屋根

瓦には素材によって陶器瓦・粘土瓦・セメント瓦などいくつか種類があります。

昔ながらの日本の住宅で使われているのは、粘土瓦(和瓦)が一般的です。

和瓦は他の屋根材と比較すると1番耐久性が高く、定期的な塗装工事も不要で定期的なメンテナンス費用はあまりかかりません。

耐用年数は約50年と長いです。

ただし、20~30年に一度、葺き替え直しをするのが望ましいとされています。

これは瓦そのものはしっかりしていても、瓦の下に敷いてあるルーフィングや木下地が劣化している可能性があるためです。

地震や飛来物による瓦の割れや落下が起こり得ますが、1枚だけ交換するなど部分的な補修が可能です。

スレート屋根

スレート屋根は屋根材が作られた時期によって耐用年数が変わりますが、耐用年数15~30年程度とされています。

また、屋根材自体の劣化を防ぐため、メンテナンスとして10~15年に一度は塗装をすることが理想です。

塗装が劣化するとひび割れが起こり、その隙間から雨や雪で水分が入ることでスレート屋根自体が傷みやすくなってしまうのです。

ただし、塗装ができるのは2~3回までです。

2~3回以上になると、塗膜が厚くなりすぎて剥がれる恐れがありますし、10年に1回塗装をする場合、3回目の塗装をする時にはスレート屋根自体の耐久年数が過ぎてしまっている可能性があります。

そのため3回目の塗装を検討する際は、屋根の状態も見ながら葺き替え工事も検討した方が良いでしょう。

スレート屋根も瓦屋根同様、飛来物や塗装工事で人が屋根を歩いた時の重みなどで割れる可能性があります。

割れた程度によって、シーリング・部分補修・重ね葺き・葺き替えなど、必要な補修工事が変わります。

金属屋根

近年人気が高まっている金属屋根ですが、最近はガルバリウム鋼板という素材を使った屋根材が一般的です。

一昔前のトタン屋根は耐用年数が10~20年と決して長くありませんでしたが、ガルバリウム鋼板屋根の耐用年数は20~40年前後と、スレート屋根よりも少し長くなっています。

スレート屋根同様、塗装による定期的なメンテナンスは必須です。

塗装は、10~20年に一度行うのが望ましいです。

塗装が劣化してしまうと、サビが発生し、屋根材自体の劣化の大きな原因になります。

メンテナンスが必要なサインを確認しよう

屋根にどんな症状が出たらメンテナンスを考えるべきなのか、見逃せないサインを5つ紹介します。

その5つは以下の通り。

  • カビや苔の発生
  • 塗装の色あせ
  • 屋根材のひび割れ
  • 塗装の剥がれ
  • サビの発生

1つずつ詳しく解説します。

カビや苔の発生

カビや苔が発生する原因は、以下の2つが考えられます。

  • 日当たりが悪い
  • 塗装が劣化している

どちらも共通しているのが、水分が屋根にとどまったままになっている点。

塗装が劣化してくると、防水効果が薄くなって屋根材が水分を吸収してしまったり、塗装の表面がザラザラして苔の胞子が着きやすくなってしまったりするのです。

苔によって屋根材が割れたり剥がれたりすることはありませんが、日当たりがすごく悪い訳ではない面に苔やカビが生えていたら、塗装の劣化の可能性を考えましょう。

塗装の色あせ

屋根の色が白っぽくなってきたり、触って白い粉が手についたりしてきたら、塗装の劣化のサインです。(触って白い粉がつくことを「チョーキング」と言います)

紫外線や雨・雪などの水分、熱などによって塗装は少しずつ劣化していきます。

色あせはまだ劣化の初期症状ですが、放置したままにすると劣化が進み、より大規模な補修工事が必要になる可能性もあります。

屋根材のひび割れ

屋根のひび割れにはいくつかの原因が考えられます。

1つ目は、塗装の劣化が進んでいる場合。

スレート屋根や金属屋根で前回の塗装から10年以上経過していて、ひび割れが見られたら塗装の劣化が進んでいるとみて良いでしょう。

早めに塗装工事を行うことをおすすめします。

2つ目は、飛来物などの衝撃によって、屋根材自体が割れてしまった場合。

スレート屋根や瓦屋根で起こり得ます。

強風で物が飛んできて屋根に当たったり、工事や点検で人が屋根に上がった際、重みで割れてしまったりしてひび割れが起こってしまうのです。

屋根のひび割れに関しては、「屋根のひび割れは放置NG!原因と補修方法・費用を解説」の記事も参考にしてください。

塗装の剥がれ

塗装の色あせやひび割れからさらに劣化が進むと、塗装の剥がれも発生します。

剥がれが起きている=劣化がかなり進んでいることになりますので、早めに対処しましょう。

塗装の剥がれを放置していると、雨漏りを引き起こす可能性も有ります。

塗装の剥がれについては、「屋根塗装が剥がれる原因は3つ!補修方法と費用相場も解説」の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。

サビの発生

金属屋根の場合、塗装が劣化して防水力が落ちてくるとサビが発生します。

また、スレート屋根も固定に使われているビスから錆が発生する可能性があります。

そのままサビを放置すると、屋根に穴が開いて雨漏りが起こる可能性もあるため早めの対処が必要です。

塗装工事の際は、発生しているサビを落としてからサビ止めを塗りますが、処理が甘いとサビが再発生しやすくなるため、業者選びも慎重に行うのが大事です。

屋根のメンテナンスは何をする?工事種類と費用相場

屋根のメンテナンスはどんなことをすれば良いのか、工事種類と費用相場を解説します。

メンテナンス工事の種類は以下の4つです。

  • 塗装
  • 部分補修
  • カバー工法(重ね葺き)
  • 葺き替え

1つずつ解説します。

塗装

定期的な塗装工事が必要になるのは、スレート屋根と金属屋根です。

瓦屋根は、粘土瓦(和瓦)であれば塗装は不要ですが、セメント瓦は塗装が必要になります。

塗装工事の頻度は、使用する塗料の種類によって決まります

主な塗料と耐久年数を以下の表にまとめました。

塗料種類耐久年数
ウレタン塗料6~8年
シリコン塗料8~10年
フッ素塗料15年~20年
無機塗料16年~20年

現在主流なのはシリコン塗料です。約10年に1回はメンテナンスのための塗装が必要になります。

一般的には耐久年数が長いほど工事費用は高くなるので、費用と耐久年数のバランスを考えて塗料を選びましょう。

費用は、塗装する面積と使用する塗料に応じて決まります。

屋根塗装をする際は、外壁塗装も同時に行うのがおすすめ。

足場などの費用が一度で済むので、トータルで見ると別々で塗装するより安くなります。

一般的な30坪のお家の屋根外壁を塗装した場合、費用相場は100万円前後です。

工期は天候にもよりますが、10日~14日前後です。

暑すぎても寒すぎても塗装には向かないため、夏・冬よりも春・秋に工事をするのがおすすめです。

部分補修

部分補修は、スレート屋根と瓦屋根で行われる工事です。屋根材が割れていたり、欠損していたりする場合は部分交換を行います。

ただし、スレート屋根は釘で軒先から順番に止められているため、瓦屋根のように割れた1枚だけを交換することが難しいです。

割れている周辺のスレートも一緒に交換する必要があります。

ある程度の範囲の施工が必要になるため、部分交換をするのであればカバー工法や葺き替えで全面的に工事をした方が長い目で見たら安く済むかもしれません。

部分交換の費用相場は、数万円~数十万円+足場が必要な場合は足場代です。

工期は1~数日です。

カバー工法(重ね葺き)

すでに2~3回塗装工事をしているスレート屋根や金属屋根、20~30年近く経った瓦屋根にはカバー工法(重ね葺き)を行います。

カバー工法とは、今ある屋根材の上から新しい屋根材を被せること。

現在の屋根材に関わらず、軽くて家全体への負担が少ない金属屋根を重ねることが多いです。

今の屋根材の上に防水シートを貼り、新しい屋根材を施工するので機能性が改善され、見た目も新しくなります。

古い屋根材はそのままなので、処分費が発生しない・工期が短くて済むというメリットも。

一方デメリットは、屋根の重量が増すことです。

雨漏れ等で屋根の下地が痛んでいる場合は施工できないこともあります。

無理にカバー工法を行っても結局長持ちせず、後から下地の補修が必要になって費用がかさむのは嫌ですよね。

雨漏れがある場合は事前に施工業者に屋根裏の確認をしっかり行ってもらいましょう。

カバー工法の費用相場は施工面積によって変わりますが、80~150万円くらいです。

工期は10日前後になります。

葺き替え

葺き替えもカバー工法同様、すでに2~3回塗装工事をしているスレート屋根や金属屋根、20~30年近く経った瓦屋根に行います。

葺き替えは、今ある屋根材をすべて撤去して、新しい屋根材を設置する施工方法です。

屋根を一旦木材の骨組みの状態にまで戻すため、下地の補修や防水シートの交換など外からは見えない箇所もしっかりメンテナンスできます。

その分、カバー工法と比べると費用は高く、工期は長くはなります。

費用相場は屋根の面積次第ですが、120~250万円。工期は14日前後です。

屋根工事に助成金・補助金はある?

結論から言うと、経年劣化が原因の屋根工事は補助金や助成金の対象にならないことがほとんどです。

耐震や省エネなど機能性をあげる屋根工事をする場合は補助金の対象になる場合もありますが、大規模工事になったり、通常の塗装工事より工事費が膨らんだりする可能性もあります。

地方公共団体によって支援制度が変わるため、詳しくは「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」やお住いの自治体のHPなどを参考にしてください。

地震や台風など自然災害による屋根工事の場合は、火災保険の対象になる可能性があります。

また、被害が大きい災害であれば国や県の補助金制度が使用できる場合も。

使用を検討する場合は、事前に保険会社や自治体に問い合わせをしましょう。

工事が終わってからでは申請できない可能性もありますので、工事を考え始めるタイミングで情報を集めるのがおすすめです。

【まとめ】屋根は定期的にメンテナンスしよう

屋根のメンテナンスを行う時期とメンテナンスを考えた方が良いサイン、工事の種類について解説してきました。

あなたの自宅の屋根の状態はいかがでしょうか。

苔やサビが発生していたり、塗装が色あせていたりしませんか?

前回の塗装から10年近く経っていませんか?

定期的に屋根のメンテナンスをすることは、今の自宅に安心して長く住むためには欠かせないものです。

雨漏りが起きてから考えると、工事は大がかりになる可能性があります。

面倒さもあると思いますが、ぜひ屋根のメンテナンスにも気を配ってみてください。

記事の監修者

長江勝彦

長江 勝彦

1966年創業、外壁番長の代表取締役。地元、富山県を中心に住宅のリフォーム・塗装業務を行っており、これまで500件以上の施工実績を持つ。

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