屋根のひび割れは放置NG!原因と補修方法・費用を解説

屋根にひび割れが入っているのを見つけた!
このまま放置していたらまずい…?

この記事ではそんな方のために、屋根材がひび割れる原因と補修方法、費用相場について解説します。

結論から言うと、「放置は良くない」です。

状況が悪化してより修理に費用がかかってしまう可能性もあるため、早めの対処をおすすめします

どんな対処法があるのかを知って安心して屋根を直せるよう、ぜひこの記事を読んで参考にしてください。

ひび割れる可能性がある屋根材は?

すべての屋根材がひび割れをする訳ではありません。

ひび割れる可能性がある屋根材は、スレートと瓦です。

それぞれの特徴を簡単に説明します。

スレート

スレートとは、粘板岩という種類の岩を薄い板状に加工したものです。天然スレートとも呼ばれます。

天然スレートは高価なこともあり、日本ではあまり使われていません。

一般的なのは、セメントに繊維素材を混ぜて加工したスレート(化粧スレートとも言う)です。

以下、スレート=化粧スレートとして書いていきます。

日経クロステックの記事によると、スレートは日本の住宅の約3割に使われています。

瓦より軽く、費用も安いのが大きな要因となって1990年頃から広く普及してきました。

厚さが約5㎜と薄いため衝撃に弱く、ひび割れが起こってしまうことがあります。

呼び方が色々ありますが、以下はすべて化粧スレートを指す言葉です。

  • コロニアル
  • カラーベスト
  • 平板スレート
  • スレート瓦

瓦は、主に粘土を焼いて成型した屋根材ですが、粘土以外の材料を使った瓦もあります。

種類は大きく分けて2つ。

日本の伝統的な和瓦と、海外の住宅で使われていた洋瓦です。

耐久性・断熱性・遮音性などに優れていますが、重量があるのがデメリットで、地震の被害も受けやすいことから日本国内でのシェアは低下傾向にあります。

粘土以外の原料を使った瓦としては、セメント瓦やモニエル瓦(コンクリート瓦)が挙げられます。

粘土が原料の陶器瓦は経年劣化しませんが、セメント瓦やモニエル瓦は経年劣化でひび割れる可能性も。

衝撃による瓦のひび割れは素材問わず起こり得ます。

スレート屋根がひび割れる原因

ここからは、特にひび割れが起きやすいスレート屋根に焦点を当てて説明していきます。

スレート屋根がひび割れる原因は以下の2つが考えられます。

  • 経年劣化
  • 外部からの衝撃

1つずつ詳しく説明します。

経年劣化

屋根のひび割れの原因としてまず考えられるのが経年劣化です。

スレート屋根の寿命は20~30年

スレートが雨や雪などの水分を吸収して膨張し、表面から乾いて収縮することによってひび割れや割れが起こってしまうのです。

定期的に塗装をして水分の吸収を防げれば、経年劣化のスピードは遅らせられます。

逆に塗装をしないと劣化も早くなり、20年もたない可能性も。

お家の環境によっては、築5年頃からひび割れが起きてしまうこともあるようです。

定期的に塗装していても少しずつ劣化はしていきますので、30年前後経って屋根にひび割れが多く見られるようであればスレート屋根自体の補修を考えた方が良いでしょう。

屋根を守るのに大切な屋根塗装のタイミングに関しては、「屋根塗装が剥がれる原因は3つ!補修方法と費用相場も解説」の記事も参考にしてください。

また、スレート屋根の経年劣化の症状は、ひび割れ以外にも以下のものがあります。

  • 色あせ
  • カビや藻の発生
  • 塗装の剥がれ
  • 割れや欠損

お家の屋根に上記の症状が出ていないか、合わせて確認してみてください。

外部からの衝撃

屋根のひび割れのもう1つの原因は、外部からの衝撃です。

以下のような原因が考えられます。

  • 飛来物
  • 踏み割れ
  • 雹(ひょう)や霰(あられ)
  • アンテナなどの転倒

飛来物

強風や台風時に近隣から飛んできたものが屋根にぶつかり、スレートがひび割れてしまいます。

踏み割れ

踏み割れとは、人の足で踏んだ時にひび割れてしまうこと。

屋根の修理や太陽光パネル設置、アンテナ工事などでスレート屋根を歩いた際、体重がかかることでひび割れてしまいます。

経年劣化が進んでいるスレートほど、踏み割れが起こりやすいです。

新しいスレートであっても、屋根を施工した時のやり方によっては踏み割れが起きることもあります。

雹(ひょう)や霰(あられ)

雹(ひょう)や霰(あられ)は、氷の塊が降ってくることです。

屋根にぶつかった時の衝撃でスレートがひび割れてしまいます、

アンテナなどの転倒

屋根の上に設置してあるアンテナなどが強風や地震によって倒れ、その衝撃でひび割れてしまうことがあります。

転倒しなくても、アンテナや太陽光パネル自体の重さで少しずつひび割れが入ってしまう場合も。

スレート屋根のひび割れは補修が必要?

スレート屋根のひび割れを発見したら、なるべく早く補修をすることをおすすめします。

このくらいなら大丈夫だろうと思って放置すると、経年劣化のスピードが上がってしまい、雨漏りが発生する可能性もあるからです。

雨漏りしてしまうと簡単な補修工事では済まず、工事が大がかりになり、費用の負担も大きくなってしまいます。

ただ、屋根材の下には防水シートが敷かれているため、ひび割れがすぐ雨漏りに直結する訳ではないので安心してください。

スレート屋根がひび割れる原因」でも書いた通り、ひび割れから水分が入るとスレート屋根自体が膨張と収縮を繰り返し、だんだん脆く(もろく)なります。

水分が防水シートに侵入し続けると、防水シートも劣化が進み、水を通すようになってしまうのです。

防水シート自体、素材によって異なりますが、耐用年数10年~30年程度のものが使われていることが多いです。

施工から年数が経っているお家ほど屋根材のひび割れが雨漏りに繋がりやすくなりますので、早めに対処しましょう。

スレート屋根のひび割れの補修方法4つと費用相場

スレート屋根のひび割れの補修方法はどのようなものがあるのか、費用相場も合わせて解説します。

補修方法は以下4つで、ひび割れの範囲や程度によって最適な施工が決まります。

  • シーリング(コーキング)
  • 部分交換
  • カバー工法
  • 葺き替え

シーリングが1番簡単な補修方法で、下にいくにつれ大がかりな工事になります。

シーリング(コーキング)

ひび割れの程度が軽く、範囲も狭い場合はシーリングでの部分補修工事で済みます。

シーリングとは、ひび割れのすきまを充填することです。

厳密には定義が違いますが、コーキングと呼ばれる場合もあります。

シーリングのみであれば、補修費用は数万円~で済むことがほとんどです。

ただし、足場が必要な場合は別途足場代がかかります。

工期は1日です。

部分交換

部分交換は、ひび割れしたスレートを新しいものに交換する補修方法です。

ひび割れというより割れていたり、欠損していたりする場合は部分交換を行います。

ただし、スレート屋根は釘で軒先から順番に止められているため、瓦屋根のように割れた1枚だけを交換することが難しいです。

割れている周辺のスレートも一緒に交換する必要があります。

ある程度の範囲の施工が必要になるため、部分交換をするのであればカバー工法や葺き替えで全面的に工事をした方が長い目で見たら安く済むかもしれません。

部分交換の費用相場は、数万円~数十万円+足場が必要な場合は足場代です。

工期は1~数日です。

最低限の応急処置であれば、割れたスレートのみを切り取って新しいスレートを接着する方法もあります。

割れたスレートのみの補修であれば費用は安く済みます。

しかしあくまで応急処置なので、長持ちしないことは頭に入れておきましょう。

カバー工法

広範囲にひび割れがあり、割れや欠損も見られる場合は全面的に補修が必要になります。

今ある屋根材の上から新しい屋根材を被せるのがカバー工法です。

今の屋根材の上に防水シートを貼り、新しい屋根材を施工するので機能性が改善され、見た目も新しくなります。

古い屋根材はそのままなので、処分費が発生しない・工期が短くて済むというメリットも。

一方で、屋根の重量が増すことがデメリットです。

雨漏れ等で屋根の下地が痛んでいる場合は施工できないこともあります。

カバー工法の費用相場は施工面積によって変わりますが、80~150万円くらいです。

工期は10日前後になります。

葺き替え

カバー工法同様、全面的に補修が必要な場合には葺き替えも選択肢になります。

葺き替えは、今ある屋根材をすべて撤去して、新しい屋根材を設置する施工方法です。

屋根を一旦木材の骨組みの状態にまで戻すため、下地の補修や防水シートの交換など外からは見えない箇所もしっかりメンテナンスできます。

その分、カバー工法と比べると費用は高く、工期は長くはなります。

費用相場は屋根の面積次第ですが、120~250万円。工期は14日前後です。

わかりやすいよう、葺き替えとカバー工法の違いを表にまとめます。

葺き替えカバー工法
工事内容今の屋根材をすべて撤去して、新しい屋根材を設置今ある屋根材の上から新しい屋根材を被せる。「重ね葺き」とも言う
メリット・下地の補修、防水シートの交換などしっかりメンテナンスができる
・次のメンテナンス時期まで期間が長くなる
・費用が安い
・工期が短い
・断熱性・防音性が上がる
デメリット・撤去・処分費が入るため、カバー工法より費用は高くなる
・カバー工法より工期は長くなる
・工事中、埃が出る
・屋根が重くなる(耐震性に影響がある可能性)
・瓦屋根には施工できない
・選べる屋根材が限定される(金属屋根が多い)
費用120~250万円80~150万円
工期14日前後10日前後

スレート屋根のひび割れは火災保険が使える?

屋根のひび割れの補修には、火災保険が使える場合もあります

  • ひび割れの原因が自然災害または外部からの物体の飛来や落下によるもの
  • 建物が補償対象に入っている(家財のみだと補償外)

上記の2つの条件を満たせば、保険金がおりる可能性もあり、次の項目でもう少し詳しく説明します。

自然災害による被害とは?

自然災害は具体的には、以下のものを指します。(参考:ソニー損保

  • 台風や突風などの強風(※強風=最大瞬間風速20メートル以上)
  • 雹や霰の落下
  • 積雪や落雪
  • 地震(地震保険に加入している場合)

経年劣化が原因のひび割れは火災保険の補償範囲外になり、保険金は受け取れません。

自然災害がきっかけでスレート屋根のひび割れを発見したとしても、経年劣化している状態の屋根の場合は保険がおりない場合もあります。

また、施工不良が原因である場合も火災保険は下りません。

正確な原因は素人では判断がつかないため、可能性があるかもと思ったら一度申請してみても良いでしょう。

火災保険で下りる費用

損害保険は、「損害を受ける前の状態に戻すための費用を補償する」というのが基本的な考え方です。

自然災害が原因だと判断されても全額補償される場合と一部補償しか下りない場合があります。

加入している保険の補償内容によっても変わるため、内容を確認してみましょう。

悪徳業者に注意!

中には飛び込みで突然訪問して、「火災保険を使えば無料で屋根の補修工事ができる」などと言って契約を迫る業者もいます。

不用意に契約してしまうと、以下のようなトラブルも実際に起こっています。

  • 工事契約を結んだ後に保険金が下りないとわかって契約解除しようとしたが、高額な解約料を請求される
  • 高額な保険申請の代行手数料を取られた
  • 保険金が出ると言われて契約したが、結局保険が下りず全額自己負担になった

いきなり押しかけてきた業者をすぐに屋根に上がらせることや、その場で契約を結ぶことはやめましょう。

地域で火災保険の申請実績があって、きちんと信頼できる業者を選ぶようにしてください。

まとめ:屋根のひび割れは早めに対処しよう

屋根のひび割れの原因と補修方法について解説してきました。

繰り返しになりますが、屋根のひび割れを見つけたら早めに対処するのが肝心です。

対処が早いほど家へのダメージも少なく、費用を抑えて直すことができます。

信頼できる業者を選び、定期的なメンテナンスを行いながら、安心安全なお家を保っていきましょう。

記事の監修者

長江勝彦

長江 勝彦

1966年創業、外壁番長の代表取締役。地元、富山県を中心に住宅のリフォーム・塗装業務を行っており、これまで500件以上の施工実績を持つ。

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