外壁塗装を行う意味に疑問?放置した場合を解説

外壁塗装に関しては「行う意味があるのか」といった意見が聞かれることがあります。外壁塗装を行うにはそれなりの費用がかかりますから、できるなら外壁塗装をしないで済ませられるならいいですよね。

外壁の補修だけで十分ではないか?塗装まで行う意味があるのか?など、疑問を持つ方もいるでしょう。

結論からいうと、外壁塗装が必要ない場合もあれば、外壁塗装をすべき意味やメリットがある場合もあります。

また、塗料には必ず寿命がありますが、耐用年数についてはどう考えればいいのでしょうか。

もし外壁塗装までは意味がないと放置した場合はどうなるでしょうか。

本記事はそういった疑問に答えるために記述しています。

外壁塗装についての正しい理解を深め、住まいを健全に保つため最善なことを一緒に考えていきましょう。

外壁塗装をする意味がない場合

外壁塗装を行う意味を見出せずにいる方の中には「塗装せず補修だけで40年住んでいる場合もある。外壁塗装は美観だけの問題なのに、塗装しなければ取り返しがつかないと煽ってくる業者がいる。そんなのは詐欺だ」という意見があります。

たしかに外壁塗装の意味がない場合があります。では外壁塗装を行う意味のない時とはどんな時か解説していきましょう。

小さなひび割れや剥がれ

外壁の劣化状況が軽度の時は、どの場合も早急に外壁塗装をする必要はありません

経年劣化で起こる剥がれは、セメント粉を塗りこんだりシーリング材の擦り込みだけで、簡単に補修できます。

部分的な小さなひび割れは、コーキングを隙間に埋めて対処できます。外壁の汚れは「洗浄」」で十分にきれいになりますから、塗装するほどの意味がないといえるでしょう。

ただし、自分で補修できるかどうかの判断基準は、ひび割れ幅が1mmの場合です。1mmを超えた劣化は専門業者に外壁塗装を依頼する意味が生じてきます。

軽度なサビや色あせ

サビや色あせも軽度であれば、焦って外壁塗装する意味がありません。
ただし塗料の塗膜の劣化が起きている明らかな証拠といえます。

外壁塗装を行う間隔の目安は10年です。

それを過ぎたら見た目では分からなくても劣化が生じているため、外壁塗装を検討するのは意味のあることです。

業者が煽るセールス

飛び込み営業で「今すぐ塗装しないと大変なことになりますよ」と不安を煽ってくるリフォーム業者には特に注意してください。

時には「今なら大幅な値引きができる」と、急いで契約させるための圧力をかけてくるケースもあります。

しかし「今すぐ工事が必要な根拠」や「値引き理由」が曖昧な場合は、悪徳業者だとみなしていいでしょう。

外壁塗装が無駄で意味のないことで終わらせないためには、きちんとした点検と調査は重要ですので注意してください。

外壁工事が意味ある場合のメリット

美しい外観を維持できる

外壁塗装は、見た目だけの問題だから意味ないと思っていると、後悔するケースがあります。

住まいは、築10年も経つと経年劣化で色あせや汚れ、カビが目立ち始め古びた印象になります。

ですが外観がさびれた感じになる前に定期的に外壁塗装を行うなら、新築時の美しい外観を維持できるのです。いつまでも綺麗な外観の住まいに暮らせるのは、大きな魅力ではないでしょうか。

また外壁の色を変えることで、デザインも一新されます。

2色使いをするとガラリと外見に変化します

インターネットでどんな色やデザインにするか、さまざまな想像をしながら楽しむのもいいひと時になるでしょう。

外壁の劣化を遅らせる

外壁塗装は、ひび割れや雨漏りなどの劣化症状が進んでいくのを阻みます。

雨漏りなどの劣化症状を放置すると、ひび割れ箇所から建物内部に雨水が入り込み、やがて建物全体の耐久性を落とし深刻なダメージを与えてしまいます。

外壁塗装を行う工程では、最初にひび割れや剥がれなどを下地補修してから塗装します。

ただ単に外壁を塗るだけではなく、劣化まで適切に補修し保護してくれるため、ひび割れや剥がれが生じたら業者に依頼する意味があるといえるでしょう。

外壁に防水・断熱などの付加機能を施せる

外壁は必ず劣化していき、寿命を迎えます。

しかし、劣化を防ぎ寿命を延ばすのが外壁塗装です。

外壁塗装に重要な意味を与えるのは、これから説明しますが、サビから保護したり防水機能を加えたりする成分を塗料に含有できることです。

そうした成分を塗料に加えることは、外壁を健全な状態に保つために特に大事な役割といえます。
以下の5つの機能を解説していきます。

  1. 遮熱機能
  2. 防水機能
  3. 防汚機能
  4. 防カビ・防藻機能
  5. 防錆機能
    では分かりやすく解説します。

遮熱機能

太陽からの赤外線を反射し、塗装表面の温度が上がるのを防ぎます。

夏場は特に外壁からの熱気を抑え、熱がこもらないように室内を猛烈な暑さから守る効果があります。

日当たりが良く太陽の直射日光を浴びる住宅に、おすすめの機能です。

防水機能

雨水は住宅の天敵ですので、どの塗料にも防水機能が含まれています。外壁にひびが入ると塗料の塗膜も割れてしまい雨水が侵入します。

そこで防水機能は塗膜に高い伸縮性があるため、ひび割れした部分を塗膜が伸びて隙間を覆う役目を果たし、雨水の侵入を防いでくれます。

防汚機能

防汚機能とは、外壁の汚れを雨が降ると雨水と一緒に洗い流してくれるセルフクリーニング機能です。

また光触媒塗料も開発されていますが太陽光で汚れを分解する塗料です。汚れやすい大通りに面した住居などにおすすめです。

防カビ・防藻機能

日当たりが悪かったり水辺や湿地が近くにあったりすると、外壁にカビや藻が発生しやすい条件となります。

防カビ・防藻機能が含まれた塗料は、カビや藻の繁殖を防ぎます。ただしカビや藻には種類がさまざまあり、塗料によって防げる種類も違ってきます。

カビや藻が激しくて困っている場合は、リフォーム業者に相談し種類にあった塗料を提案してもらいましょう。

防錆機能

金属製の外壁塗装には必須の機能です。どうしてもサビが発生してしまうからです。
たとえば、ガルバリウム鋼板などには防錆機能を施して、サビを防ぎ長持ちさせるのは肝要です。

住宅の資産価値を守れる

外壁塗装を定期的に行うことで、美しい外観を維持するとともに耐久性を大幅に高められます。

そうした住宅は外壁塗装を行っていない住宅に比べ、資産価値の高さもかなり変わってきます。

将来に売却する予定や長く住み続けたい場合、特に子孫へ相続することを検討しているなら、資産価値を高く保ち続けることは重要です。

今と将来のために定期的な外壁塗装を行うことで、資産価値を損なわないようにしていきましょう。

外壁塗装と意味が深い耐用年数

塗料によって耐用年数も変わるため下表に比較できるようまとめています。

各塗料の耐用年数表

塗料の種類耐用年数の目安
無機塗料18〜22年
光触媒塗料15〜20年
フッ素塗料15〜20年
ラジカル塗料14〜16年
シリコン塗料10〜15年
ピュアアクリル塗料15〜20年
ウレタン塗料8〜10年
アクリル塗料5〜8年

外壁塗料を選ぶ際の基準などについてまとめた記事も参考にご覧ください。

一般的な塗料の寿命10~20年を参考にする

塗料の寿命は一般的に10年〜20年とされています。
寿命の年数を過ぎると、塗膜に劣化が生じ外壁に悪影響がでてきますので塗り替えが必要です

一昔前には主流だったウレタン塗料やシリコン塗料は、価格が安く手頃に塗装できたのですが、寿命の短さが難点です。

耐久年数の表を参考に塗装してから10年が経過する場合には、塗替えを考えた方がいいでしょう。

近頃人気が出てきたフッ素塗料や無機塗料は、寿命が長く劣化を抑制する成分が含まれています。

ただし価格が高いのがデメリットです。

価格が高いことがデメリットですが、長期的な目線で考えると塗装する意味があります。

塗料の生涯にわたってかかる費用であるライフサイクルコストを考えると、一時的に価格は高くついても寿命が長い分コストパフォーマンスがいいので塗装する意味があるといえるからです。

いずれにしても、各塗料の寿命や特徴などを踏まえて業者と相談しながら検討することがおすすめです。

耐用年数30年の塗料はあるのか?

耐用年数30年の塗料があればいいのですが、残念ながら実際に30年も耐久できる塗料はありません

また日本の主要な塗料メーカーも、30年寿命のある商品は売り出していません。

しかし市場では「耐用年数30年」として販売されている塗料もありますので、騙されないように注意してください。そうした商品は「オリジナル塗料」としてOEM品で販売されているようですが、中身は普通の塗料と変わりません。

外壁塗装に意味を見出せずしぶしぶ塗装を検討している場合は、業者から寿命の長い「オリジナル塗料」を紹介されたら飛びついてしまいそうになりますよね。

ですから業者のことばを鵜呑みにせず、冷静な判断をしましょう。

外壁塗装に意味ないと判断し放置するとどうなるか?

「20年30年、放置しても大丈夫!外壁塗装には意味がない」という巷のうわさがあるようです。

外壁塗装をするメリットを4つほど前述しましたが、それでも外壁塗装に踏み切れない場合があるかもしれません。

ではもし外壁塗装を放置した場合は、どうなるのでしょうか。その点について解説していきます。

雨漏りが起き寿命が短くなる

住宅は、外壁塗装によって雨風や紫外線から保護されています。

ですが、経年劣化で塗装は剥がれてきます。

すると、雨水が浸み込んできて雨漏りするようになります。雨漏りを放置していると、やがて建物内部の柱や土台を腐食させ建物全体を劣化させてきます。

内部に腐食が生じれば、台風や地震、ゲリラ豪雨など災害がおきると、建物が破損し潰れてしまう可能性が高くなり、命が危険に晒されるでしょう。

したがって、外壁塗装で劣化を早目に対処することは、劣化部分を補修し雨漏りを防ぎ家全体の寿命を延ばす結果になるのです。

シロアリが発生する

外壁塗装を放置することで塗装が剥がれると、水分が浸透してきます。

雨漏りも心配ですが、水分が浸透した木材を好むシロアリを呼びこんでしまいます。シロアリ被害は有名なように、シロアリが一度集まりだすと、建物内部の木材を徹底的に食い荒らし木材を空洞化させてしまうでしょう。

そうなれば建物の耐震性など問題にならないほどお粗末になります。空洞化した柱を元に戻すには、大規模なリフォームが必要になることは容易に想像できますね。

大規模工事になり結果的に莫大な費用になる

外壁塗装をしないで放置すると、外壁そのものを張り替えたり、前述した雨漏りとシロアリで家の土台まで影響し、家を建て替えるような大規模な工事に発展する可能性があります。

外壁塗装をすると安くても20~30万円はかかり、しなくても大丈夫だと思い込んでいると、結果的に塗装とは比べものにならないほどの莫大な費用を支払いかねない重大事態になるのです。

まとめ

外壁塗装を慌てて行わなくてもいい場合があり、軽微な劣化なら外壁塗装をするほどでなく、外壁塗装に意味はないといえます。

ですが、外壁塗装をすることは意味のあるメリットもあります。

だれでも古びた印象のメンテナンスが行き届かない家より、新築当時の美しさを保つ家に住みたいものですね。

そして大事な住まいを劣化から守り、遮熱や防汚など機能が施された快適な家に毎日暮らせることは、人生を豊かにさせます。

またどんな塗料にも寿命があり、劣化を放置していていいことは何もありません。
むしろ劣化を放置した結果、大規模工事が必要になり、莫大な費用がかかってしまう可能性があります。

ですから塗料の耐久年数を参考にし劣化状況を見極めながら、定期的に外壁塗装を行うのは意味のある賢明な判断といえるでしょう。

どうぞ無駄のない外壁塗装を行い、住まいという貴重な資産を守っていってください。

記事の監修者

長江勝彦

長江 勝彦

1966年創業、外壁番長の代表取締役。地元、富山県を中心に住宅のリフォーム・塗装業務を行っており、これまで500件以上の施工実績を持つ。

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