外壁塗装で水性塗料が主流になった理由とおすすめ塗料

外壁塗装を検討されている方で、「塗料は水性と油性とどちらにしようか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

今や水性塗料が人気となってきていますが、「耐久性の問題はどうなんだろう?」と心配な方もおられことでしょう。

この記事は、水性塗料と油性塗料のメリットとデメリットを比較考量し、賢明な選択をするお手伝いができればと記述しています。

また、それぞれにある特徴をよく理解し、水性塗料がなぜ今主流となってきているのか理由も踏まえながら参考にしてみてください。

最後に水性塗料のおすすめ製品も紹介しています。最後までご覧ください。

外壁塗装で水性塗料が主流になってきた理由

塗料には「水性」と「油性」の2タイプしかなく、以前は性能の点で油性塗料の方が勝っており広く使われていました。


しかし、近年は水性塗料の方が主流となってきています。
その理由は、油性塗料の臭いや公害への心配がないこと、耐久性などの性能が技術の進歩とともに高くなり油性塗料と変わらなくなったことがあげられます。


また、価格も安く扱いやすいことでDIYでも用いられていることも理由です。

もう少し詳しく説明しますと、油性塗料には人体に有害な物資くトルエンやキシレンを含んでおり、環境問題にも影響し発火しやすいことが難点です。そうした人体や環境に与える影響から、水性塗料に着目されるようになりました。


また油性塗料は圧倒的に耐久性が高かったのですが、水性塗料の開発や品質が進んだことで、油性塗料と遜色ない高耐久なグレードが実現されています。

それらの理由で水性塗料が現在主流となってきました。

外壁塗装の水性塗料と油性塗料の違い

水性塗料と油性塗料の違いは下記の3つがあります。

  • 希釈材に水とシンナーのどちらが使われているか
  • 密着性の違い
  • 「乾燥」の速さ

ひとつは、希釈材に水とシンナーのどちらが使われているかという点です。

なぜ希釈材が必要かというと、塗料の原料に「顔料」「合成樹脂」「添加物」が使われていますが、それらの原料のままでは外壁などに塗ることはできないからです。


つまり、液体の希釈材と混ぜて溶かさなければ塗料として使えないのです。
希釈材で薄めた塗料を塗って乾かすことで、着色された顔料と合成樹脂で壁を保護する力が発揮できるわけです。

そのため、希釈材がどうしても必須となってきますが、水性塗料は水、油性塗料はシンナーなどの有機溶剤が使用されます。

2つ目の密着性の違いがあります。
密着性とはピッタリと隙間なく付着する性質のことですが、密着性が低いと当然はがれやすくなります。
そうした密着性は油性塗料が優れているとされています。

3つ目の「乾燥」の速さについていえば、油性塗料に使用されるシンナーなどは揮発性が高いので乾燥しやすいです。

水性塗料は水が主成分のため、乾燥に時間がかかり、しっかり水気を飛ばして乾燥させなければなりません。
ということは、雨を避けなければならず天候の影響を受けやすいといえるでしょう。

上記の3つの違いを考慮して水性か油性かの塗料を選ぶ必要があります。

外壁塗装の水性塗料のメリット

  • 水性塗料のメリットは下記の4つです。
  • 水性塗料は素人でも扱いやすく工事費が安い
  • VOCを大幅に削減できる
  • 有機溶剤特有の臭いや中毒の心配が不要

上記の点について詳しく説明していきます。

水性塗料は素人でも扱いやすく工事費が安い

  • 素人でも扱いやすい
  • シンナーが要らないぶん工事費が安い

塗料の種類には、「1液型」と「2液型」とありますが、「1液型」は缶を開けたらそのまま使えるため扱いやすさは抜群で、水性塗料に多く施工業者にとってもやりやすいのがメリットです。

一方の「2液型」は油性塗料に多く、2つの缶の溶液を混ぜなければなりません。この混ぜ合わせ方が困難で、熟練の技を要します。
そのため扱える業者を選ばなければならず、また費用も高くなってしまいます。

水性塗料は、施工のしやすい「1液型」が多く、取り扱い業者もたくさんあり、費用も安く抑えられる良さがあります。

VOCを大幅に削減できる

「VOC(揮発性有機化合物)」とは、シックハウス症候群、大気汚染の原因の一つです。


しかし水性塗料の場合は、希釈するのに水を使っているため、シンナー特有の強い臭いがなく、工事中に体調を悪くなる心配が少なくてすみます。
それでシンナーなどを使わない水性塗料は、環境や人体に優しい塗料として注目されているといえるでしょう。

実はVOCの全排出量の約39%が塗料が原因とされており、VOC削減には塗料が関係しているのです。
そして塗料のVOCの大部分は、油性塗料を希釈するシンナーをはじめとした有機溶剤が占めています。


それで、油性塗料から水性塗料に置き代わることは、VOC削減に向けて一役買う大きな要素といえるでしょう。

有機溶剤特有の臭いや中毒の心配が不要

水性塗料は前述したとおり、VOC排出が少なく、油性塗料に比べ臭いや有害性もほとんどありません。


そのため塗装工事をする際に、居住しながら、または会社では営業しながらも可能なため、工事の間だけ一時的に避難する必要がありません。


また油性塗料の希釈液に含まれるシックハウス症候群の原因になるVOCは、人体や環境に有害なため、近年は公共施設においても使用されなくなってきており、油性塗料が主流でなくなった大きな原因といえます。

保管が容易、引火の心配がない

水性塗料は水が主成分のため、油性塗料とは違い危険物ではありません。


ですから保管する際も簡単で、油性塗料のように細心の注意をしなくてすみます。


またシンナーを含んでいないことで、引火する危険や火事の心配がなく、管理場所や施工場所を選ばない安全性の高い塗料といえるでしょう。

外壁塗装の水性塗料のデメリット

水性塗料のデメリットは下記の2つです。

  • 塗装時の温度に影響されやすい
  • 天候の影響を受けやすい

上記の点を解説していきます。

塗装時の温度に影響されやすい

水性塗料は完全に水気を飛ばし乾燥させる必要があります。


そして成膜を形成するためには、ある程度の気温が必要とされるため、低温の環境には不向きです。


また塗装後に起きるびび割れは、必要とされる温度以下の低温が原因で、成膜不良が起きてきます。

そのため、水性塗料の塗装工事は低温の環境や寒冷地には向かないといえるでしょう。

天候の影響を受けやすい

水性塗料は希釈材は水ですので、シンナーのような揮発性はないため乾燥しにくい難点があります。


その上、完全に乾燥する前に雨が降り濡れてしまうと、溶けて流れてしまいます


そのため、十分な乾燥時間を考慮し、雨が降らない日程を組む必要があるでしょう。


水性塗料は、どうしても天候に左右されやすいデメリットがある塗料といえます。


しかし、いったん完全に乾燥してしまうとプラスチックのようになり、水に溶けだすことはありませんので安心できます。

一方で最近では、技術の開発で多少の濡れは心配のない水性塗料も出てきています。


関西ペイントの『アレスダイナミックフィラー』は、世界初として雨の日も塗装できる水性塗料として注目を集めています。

また別の面ですが、水性塗料では塗装できない素材もあるため、注意して見極める必要があります。

油性塗料のメリット

油性塗料の希釈液のシンナーは、大気への有害性がありましたが、耐久性の高い塗膜を作るのに一役買っている一面があります。


水性塗料が脚光を浴びるまでは、外壁塗装に油性塗料が普及していたことから、耐久力があったことは否めないでしょう。


水性塗料と違い天候の影響も受けず、揮発性があり乾燥が早く、密着性があってどんな素材にも塗装できるのは魅力です。


また金属などへの塗装もでき、下地塗りを省けることなどもあげられます。


さらに、水性塗料では対応できない箇所にも塗装できるのもメリットといえるでしょう。

油性塗料のデメリット

油性塗料が主流でなくなった一番の原因としてあげられるのは、希釈材として使われているシンナーの臭いといえるでしょう。

シンナーなどの溶剤は、「VOC(揮発性有機化合物)」を出すため、塗装工事をする際は近隣への配慮も怠るわけにはいきません。

また前述したとおり、引火する危険もあり、保管場所などの管理にも注意を要します。
そのため、工事中は施工業者の取り扱いにも気を使い、火事などを起こさないように気を配る必要もあります。

なお、近年では「弱溶剤」という弱いシンナーでも溶かせる油性塗料も開発されており、今までよりも臭いや刺激が少なくて環境にも配慮された油性塗料がでてきています。


水性塗料では使用できない箇所もあり、期待が寄せられるところです。

外壁塗装の塗料の耐久性は水性・油性は無関係

前述で油性塗料のシンナーが塗膜の耐久性を高めると記述しましたが、それよりももっと耐久性を高める要素があります。

前述しましたが、塗料の成分は「顔料・合成樹脂・添加剤」でできていますが、主に耐久性を持たせているのは、その中の主成分である「合成樹脂」です。ですから水性塗料か油性塗料かの違いではありません。

合成樹脂は4種類ありますが、アクリル→ウレタン→シリコン→フッ素といった順に耐久性や価格が上がっていきます。
この4つの樹脂の中で、耐久性と価格が一番高いのはフッ素というわけです。

塗料メーカーによって違いがありますが、耐久性は概ね下記の表になります。

樹脂塗料耐久年数価  格
アクリル樹脂塗料6~8年程度1,000円~2,000円/㎡
ウレタン樹脂塗料8~10年程度1,500円~2,500円/㎡
シリコン樹脂塗料10~12年程度2,000円~3,500円/㎡
フッ素樹脂塗料15~20年程度3,000円~5,000円/㎡

塗料に含まれている樹脂により耐久性と価格が変わってきます。
それぞれの外壁工事に見合った目的や予算によって、耐久年数と価格のバランスを図りながら選択できるでしょう。

外壁塗装の水性塗料のおすすめ製品

外壁塗装の水性塗料のおすすめ製品として、ここではシリコンとフッ素の塗料を中心に紹介します。
なぜならシリコン塗料は、価格、性能面などバランスが良く、国内シェア80%の普及率を誇っている人気だからです。
またフッ素については、少し高額ですが耐久性など機能性と性能がいい注目製品といえます。

日本ペイント パーフェクトトップ

パーフェクトトップ 1液水性ラジカル制御形ハイブリッド高耐候性塗料

劣化因子であるラジカルを制御したシリコングレードを超える耐久性。

単価は、2,200円~2,700円/㎡ 
耐用年数は、11年~14年
性能は、高作業性、高耐候性、高光沢防藻・防かび性、低汚染性

日本ペイント


関西ペイント アレスアクアフッソⅡ上塗

アレスアクアフッソⅡ上塗 1液水性ふっ素樹脂塗料
耐久性 15年以上

性能  耐候性、防カビ性、低汚染性

関西ペイント

日本ペイント パワーオーデフレッシュ

現時点では珍しい「水性の2液型塗料」として注目されている商品の一つです。

親水化塗膜による超低汚染性と2液形の高い結合性で高耐候性を発揮する、水性2液形シリコン樹脂系塗料です。
耐候性・防水性の高さが抜群で、汚染物質が付着しにくい塗膜を作り建物を守り続けます。
価格 2,300〜3,500円/㎡

日本ペイント

スーパーオーデフレッシュSi    
シリコン 2,800円~3,300円/㎡  耐久年数 12~13年

フッ素   3,300円~3,900円/㎡  耐久年数 15年

エスケー化研『水性弾性セラタイトF』

『水性弾性セラタイトF』(水性2液型・艶有り/7分艶/5分艶に対応)

「水性2液型」で、フッ素×セラミックの高機能なハイブリッド塗料として人気のある商品です。
排気ガスによる汚れなどが付きにくい構造のため、外壁の美しさを長期間、維持できます。
フッ素樹脂を使った「フッ素塗料」は、耐熱性・耐寒性が高いため、あらゆる気候に対応できます。
価格 3,500〜5,000円/㎡

耐用年数 12〜20年

エスケー化研

※ちなみに上記で紹介した各メーカーの水性塗料は、同じランクの油性塗料と比べ値段は、性能・耐久性はほとんど同じです

また価格は油性塗料の方が少し高めです。

まとめ

品質と機能性で今まで主流だった油性塗料ですが、シンナーなどの希釈液からでる臭いや健康被害を起こす有害物質が排出されることで、水性塗料が注目されるようになってきました。

また、水性塗料も品質の良いものが開発され、機能性や耐久性の面で油性塗料と遜色ない製品ができています。

ですから油性塗料でしか塗装できない部分を除くと、水性塗料が今や主流となってきているのがわかります。

しかし、水性塗料にもデメリットがあり、気温や天候の影響を受けやすい脆さがありました。水が主成分のため揮発性がなく乾燥するのに時間もかかります。

この記事を通じて、水性塗料と油性塗料のそれぞれのメリットやデメリットを比較しながら、バランスの取れた選択をされることを願っております。

最後に水性塗料のおすすめ製品をご紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

記事の監修者

長江勝彦

長江 勝彦

1966年創業、外壁番長の代表取締役。地元、富山県を中心に住宅のリフォーム・塗装業務を行っており、これまで500件以上の施工実績を持つ。

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